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東京デビューしたい大学生の宿泊活動

“たいていの人が考えているよりも、上手に書くことはずっと重要だと思う”byポールグレアム 

全世界をひとつの教室にするカーンアカデミーは大切な人を思うところから始まった

今回は、いまテクノロジーによって世の中の教育の仕組みを変えているカーンアカデミーについていくらか共有した い。

 

 

全世界をひとつの教室にする

 

活動内容は、初等/中等教育カリキュラムをカバーする6500本以上のビデオ講義と、それを使った自習ソフトウェアを無料で提供することだ。理解の 遅い子でも、周りを気にせず自分のペースで授業を進められる。初等教育から大学レベルの講義まで、物理、数学、生化学から美術史、経済学、ファイナンスま で、内容は多岐に渡っている。

 

先生がカーンアカデミーを授業で用いることで明らかな利点が生まれる。これは教室でテクノロジーについて話す時、直感的には相反するように感じるの だが、通り一遍の講義を教室から取り除き、生徒を自宅で自分のペースで学習させ、そして教室では生徒が学習しているときに先生が歩きまわり、彼らで相互的 に学ばせることで、先生たちはテクノロジーによって教室に人間味を与えることができる。

 

彼らは、30人の子どもたちが口を閉じ相互に話し合うことも許されないという、非人間的な経験をしてきた。1人の先生が、その質に関係なく、通り一 遍の講義を無表情で少し反抗的な30人の子どもたちにしなければならなかったが、相互学習になったことで、今は人間的な経験へと変わっている。

 

従来のやり方では、先生の時間のほとんどは講義したり、成績をつけたりすることに費やされる。生徒の横に座って一緒に取り組む時間は、おそらく5% といったものである。今や100%の時間をそこに充てることができる。テクノロジーを使うことで、教室の雰囲気をひっくり返すだけでなく、教室を 5倍も10倍も人間的にすることができる。

 

これは大学に入り直すために当然の知識を勉強し直そうとして、戸惑っている大人にも役立つ。日中は家族のため働かなければならず、そのため学校に行 くことができないカルカッタの路上の子どもに役に立つ。今や彼らは毎日2時間使ってみんなに追いつき、自分の無学により恥ずかしい思いをせずに済む。教室 の中で生徒たちが教え合うところを想像してほしい。

 

相互学習を1つの教室の中に限るべき理由はどこにもない。カルカッタの生徒が突如あなたのお子さんを教えはじめ、あなたのお子さんがカルカッタの子どもに教えるところを想像してみてほしい。今現れようとしているのは、全世界が1つの教室になるということだ。

 
 

 

シリコンバレー屈指の天才エンジニアたちの転職先に

Khan academyは米国のシリコンバレーに本拠を置く。Khan academyに集まったのは出資金だけではなかった。シリコンバレーという土地は、世界で最も優秀なエンジニアたちが集う場所でもある。そして中にはサ ラリーの額や与えられる肩書では動かない、“何か最高に面白いこと”を求めて仕事を探しているスーパーエンジニアが少なくない。

 

カーンはそうした扱いの難しいエンジニアたちに「我々は世界を変えることができるかもしれない」というきわめて魅力的な誘いをかけ、リクルーティングしていった。結果、カーンアカデミーは世界トップレベルのエンジニアを最も多く抱えるNPOとなったのである。

 

例えば現在カーンアカデミーでリードデベロッパを務めるベン・カメンズは、もともとFog Creek Softwareのバイスプレジデントだったが、「肩書ばかりを並べて満足する人生よりも、自分が関わったプロダクトを並べる人生のほうがいい」とカー ンアカデミーに移った一人だ。現在、カメンズはアカデミーにおける数多くのコース・プログラム開発を指揮しており、最近ではハッカソンの開催なども手がけ ている。

 

また、「jQuery」という有名なJavaScriptフレームワークの開発者でもあるジョン・レッシグもカーンの信条に魅せられた一人だ。オー プンソースの世界で数多くの実績を残したレッシグであれば、シリコンバレーどころか世界中のIT企業から諸手を上げて迎えられる人材である。

にもかかわら ず、彼はカーンとともに働くことを選んだ。アカデミーでは現在、開発ツールのビルディングやコンピュータサイエンスのカリキュラム・デザインを担当してい る。 いまや世界中の子供たちや若者たちが、レッシグのような最高レベルの開発者からプログラミングの極意を直接、しかも無料で教わることができる時代になったのだ。カーンの言う「教育で世界を変える」という言葉が、いかに真実味を持って実現しつつあるかがわかる。

 

伝統的な非営利団体というよりソフトウェアのベンチャー企業

カー ン・アカデミーは多くの点で、従来のNPOというよりソフトウェア開発のベンチャー企業に似ているのだという。ユン・ファン・ジュアンは、フェ イスブックで広告プラットフォームの立ち上げに携わった3人のエンジニアの1人だ。彼女によると、ソフトウェア開発のペースは かなり早くなることもあると言う。

 

「フェ イスブックにいた頃以上ではないにしても、同じぐらいは忙しく働いています」とジュアンは話す。そして、給与は仕事量に対応している。カーン アカデミーのエンジニアは2011年はじめにはたった2人で、1年前の時点でも5人に過ぎなかった。それが現在では20人まで増え、別に15人のインター ンもいる。同NPOは、もっとエンジニアを増やすこともできたが、リラックスした職場の雰囲気をキープするため、意図的に採用のペースを抑えてきたとい う。ちなみにスタッフたちは、たとえば一緒にボーリングや映画、ボードゲームなどのアクティヴィティを楽しんだりするという。

 

理念に共感し、お金が集まる

 

今 では圧倒的な地位を築いたカーンアカデミーだが、2006年に設立してから数年は、「算数をYouTube上で面白く教えるコンテンツがあるらし い」程度の存在だった。転機が訪れたのが2010年のことです。非営利団体であり、当時運営資金が枯渇気味だったカーンアカデミーに、2010年に立て続 けに巨額の寄付や出資の話が舞い込んできたのだ。

・ アン・ドーアベンチャーキャピタリスト)から10万ドルの寄付

ゲイツ財団から150万ドルの出資

・ グーグルが200万ドルの拠出

それまでの寄付金額は、せいぜい多くても100ドル程度であったカーンアカデミーにとって、この変化は想像以上だったはずだ。

 

TEDで大反響

世界的に有名なカンファレンスTEDは大反響を呼び、再生回数は300万回を記録している。英語の勉強がてらにでもどうだろうか。

www.ted.com

 

 

 

テクノロジーはいつも大切な人を想うところからはじまる

2006 年、インド人青年のサルマン・カーンSalman Khan)によって創立された。MITで数学と電気工学の、コンピュータサイエンス専攻でマスターを、ハーバードでMBAを取っている。そしてヘッジファ ンドでアナリストをしていた。いわゆる超学歴社会のアメリカにおいて絵に描いたようなエリートだった。

 

そ んなある日のこと、遠方に住むいとこの女の子から「数学を教えて欲しい」とお願いされた。自室で、ペン・タブレットとマイクを使い数学のレッスン 動画を作りYouTubeにアップロードした。これは、いとこの女の子のために作ったものだが、別に隠す必要もなかったので、誰でも見ることができる設定 にしておいたところ、このレッスン動画を見た他の学生やその親からもお礼の声が殺到し、大きな反響を呼んだ。

 

こ れがきっかけで、彼は自分のしたことの重要性に気がつき、「将来は安泰だろう」っていうのを投げ打って、会社を辞めてカーンアカデミーを始めた。 しかもその頃ちょうど、子供が生まれたばかりだったのに。ほんの6年前たった1人ではじめたのに、今や彼は「世界で最も影響力のある100人」の一人に選 ばれている。

 

余談だが、私は1年前シリコンバレーをしていたときに現地のたくさんの企業のある共通項に気づくことができた。それはとてもシンプルなものだった。 「身の回りの問題をテクノロジーの力で解決する」である。

私 は現在あるアプリを開発している。親しくしている友人が帰国して1番最初に私に相談してきたこ とがきっかけだ。テクノロジーやITというと、「無料で使える」だとか「怪しい」とか「非人間的」、「無機質」などと言われがちである。

しかし、テクノロ ジーの中心にはいつも人間がいる。素晴らしいテクノロジーであればあるほど、いつも身近な友達や家族、大切な人を思うところから始まると信じている。カー ンアカデミーのように。